インバスケット演習の試験対策ページです。
知識ゼロの状態から、2日間の対策で、ほどほどの評価を取るための方法をお伝えします。
試験内容
インバスケット演習が、どのような試験なのか説明します。
どんな試験か?
インバスケットとは、決済が終わっていない書類が入った箱を意味しています。
この演習では、皆さんが与えられた役割(たとえば、営業課長など)になりきって、大量に溜まった案件を、短時間で、適切に処理していく能力を評価されます。
試験形式・時間は?
私が受験した時は紙で案件を配られて、手書きで処理内容を書いていく筆記テストでした。最近はオンライン上で受けるテストもあるようです。
ただ、どちらの形式にしろ、自身に与えられた役割が書かれている指示書と未決済の案件を読み、決められた時間内に、所定の回答シートに処理内容を記載していくことは同じです。
なお、実施する会社により、案件数と時間は異なりますが、私が受けた3回の試験は、全て案件数は20で、時間は120分でした。
試験問題は?
試験問題は、指示書と案件に分かれています。
【指示書】
指示書には、自分が置かれた状況について書かれています。
・会社情報
→ 会社の方針、何の会社か、自社の強み、今後どうなっていきたいか、組織図、売上情報 など
・自分が所属する部門の情報
→ 何の部署か、どんな人がいるのか、会社から何を期待されている部署なのか、前任者の状況 など
・自身の情報
→ これまでの経歴、上司からの期待 など
・スケジュール
→ 現在の日時、連絡が取れない期間、会議などのイベント情報 など
・案件処理の仕方
→ 指示の手段、所定用紙への記載方法 など
【案件】
案件には、処理しなければならない内容が書かれています。
与えられた役割により内容は異なりますが、役割が営業課長だったとすると、以下のような内容が書かれています。
・上司から、今期の売上対策を考えて報告するようにとの依頼
・事務スタッフから、顧客から品質クレームが入っているとの連絡
・人事部から、直属の部下がパワハラしているという連絡
・上司から、担当役員が役員会で次年度以降の経営戦略の方針を説明しなければいけないのでアイデアを出して欲しいという依頼
・部下から、自分の歓迎会の案内
・取引先から、懇親会参加有無の確認
・部下から、競合他社の新製品に関する情報提供
普段の仕事であれば、各案件の回答期限はバラバラになっていることが多いと思います。
インバスケット演習では、ほぼ全ての案件が、限られた時間の中で「すぐに」対応しなければならない設定になっています。
そのため、重要度に応じて、処理する順番を決めて回答していかないといけません。
どうやって評価される?
私が受けた3回の試験では、いずれも「あなたの点数は30点」といった定量的なスコアは出ませんでした。
後日渡されるフィードバックレポートの中で、「部下への指示の出し方が粗く、自ら深く掘り下げる姿勢が不足している」、「リスクや事態の先行きまで視野を広げて考察されていません」といった定性的な評価をされます。
試験対策
インバスケット演習の試験対策について、説明します。
使用教材
- 管理職のためのインバスケット演習
投資金額と対策期間
投資金額:1,650円
期間:2日
対策方針
- インバスケット演習を知る
- 解くときのルールを作る
- 作ったルールを使ってインバスケット演習の問題を解く
インバスケット演習を知るところから始めます。
まずはインバスケット演習に取り組み、インバスケット演習がどのような試験なのかを
理解します。
次に、インバスケット演習を解くときのルールを作ります。
さきほど行ったインバスケット演習時に、自分が難しいと感じたことを書き出してください。
そのうえで、どうすればよかったのか対策を考え、ルールに落とし込みます。
私は、インバスケット演習の難しさは、以下の3点にあると思いました。
- 案件同士につながりがあり、関連のある案件をうまく結びつけるのが難しい
- ほぼ全ての案件の緊急度が高く、処理する順番を決めなければならない
- 案件の数が多く、制限時間内では終わらない量である
試験を受けている時に、これらのことをいちいち考えていては、時間が足りなくなります。
そのため、対策としては、事前に解くときのルールを決めて、それに従って処理していくという方法が適しています。
いわば、インバスケット演習を解く時のプログラムを事前にインストールするようなものです。
その後、作ったルールの有効性を確認するために、再びインバスケット演習の問題を解きます。
特に困ることがなく、うまく解けそうだと感じることができれば対策終了です。
もし、ルールがうまく機能しなかった部分があったのなら、より使いやすいように修正してください。
具体的な方法
①インバスケット演習の問題を解く。
【目標】インバスケット演習の形式、出てくる問題の内容を知る
【期間】3時間
【やり方】
インバスケット演習の問題を、定められた時間で解いてください。
この時、頭の中だけで考えるのではなく、実際に書くようにしてください。
そのうえで、本の解説を読むと、インバスケット演習の形式やどのような案件が出てくるかをより理解しやすくなります。
なお、本の解説では、かなりしっかりとした回答が書かれていますが、あくまでも模範回答です。短時間で処理しなければならない状況の中で、あの内容を書ける人は、ほぼいないと思います(書けるのであれば、対策はそもそも不要な気がします)。そのため、自分は全く書けなかったと凹む必要はありません。
②解くときのルールを作る
インバスケット演習の問題を解いていて困ったことを、書き出してください。
なお、私が困ったことは以下のことです。
・案件をどのように紐づけて、回答していいかわからない
・案件をどの順番で処理していいか迷う
・方針の立て方がわからない
・登場人物や部署の名前や特徴が覚えられない
・案件を読むのに時間がかかる
・回答シートに何を書いていいかわからない
①で抽出した自身が困ったことに対する対処法を考えてください。
人それぞれ適切な対処方法があると思いますので、自身が最適だと思う方法を考えて、ルールに落とし込んでください。
参考までに、私の困りごととその対処方法を下表にまとめています。
No.4~6のような困りごとは、自分のやりやすいように決めるだけだったのですが、No.1~3のような困りごとの対処方法は悩みました。
最終的には、インバスケット演習に取り組む時の手順を作ることしました。
手順の詳細はこちらです。
No. | 困りごと | ルール |
1 | 案件をどのように紐づけて、回答していいかわからない | インバスケット演習に取り組む時の手順を作る ※手順の詳細はこちら |
2 | 案件をどの順番で処理していいか迷う | |
3 | 方針の立て方がわからない | |
4 | 登場人物や部署の名前や特徴が覚えられない | 目につくところに、情報が書かれた紙を置いておく |
5 | 案件を読むのに時間がかかる | 案件に書かれている文章をすべて読まない。 まずは、全案件に目を通すことを優先し、各案件が何に関連しているかだけ、理解するようにする。 そのあと、案件の分析をする時にしっかりと読むようにする。 |
6 | 回答シートに何を書いていいかわからない | ・誰に、何を、いつまでにしてもらうかを端的に書く(5W1Hを意識) ・案件から読み取れる事実と自分が立てた仮説かは明確に区別する。 ・情報を持っていなくて自分一人 では対処できないこともある。わからないことは、わからないという割り切りも大事。 ・全て自分で処理しようとしない。 他の人にお願いできるところは、お願いする。 |
③作ったルールの検証をする。
【目標】作ったルールで、インバスケット演習が上手く処理できることを確認する
【期間】2時間
【やり方】
1.で用いたインバスケット演習の問題を、作ったルールを使ってもう一度解きます。
その時、前回演習時に困ったことが解消されているか、確認しながら解いてください。
①のインバスケット演習時に特に困ったことが出てこなかったら、終了です。
もし、出てきたのであれば、ルールを見直してください。
ただ、完璧を目指そうと思うと、いつまでも終わらない可能性があります。自分で何となく大丈夫そうだと思えれば、それで大丈夫です。
よくある質問
A1:フィードバックレポートを読む限り、案件の処理数も評価ポイントになっていますが、案件の優先順位の決め方、案件の分析の仕方、回答が適切に書けているかといったことも同じくらい重視されているように思えます。
全ての案件を処理しようとは思わないで、優先順位の高い案件から、しっかりとした手順を踏んで可能な限り回答すればいいと考えます。
A2:案件によりマチマチなので正解はないと思いますが、私は、
・「優先度① - 重要度:高、緊急度:高」と「優先度② - 重要度:高、緊急度:低」は、原則自分で方針を考える
・その他は、担当者にお願いする
としました。
A3:人によって合う・合わないはあると思いますので、合わないと思う人は無理に案件をまとめる必要はないと思います。
そんな人は、案件を前から順番に、すぐに処理していく、というやり方もあります。
メールが届くとすぐに開いて、その場ですぐに返信するような感じです。
余談ですが、私が受けたインバスケット演習の講師が、「何も考えずに、前から順番に処理していく人も、意外と評価が高かったりするんですよね」と言っていたので、悪くないやり方だと思います。
受験体験記
こちらに私のインバスケット演習の受験体験記があります。
興味のある方はご覧ください。