「大学受験以来英語の勉強はしていないけど、まあ、なんとかなるやろ」
会社に入る直前の12月、どんな試験か調べることなく、軽いノリでTOEICを受けた。
「うわーリスニング速すぎる。何言っているかわけわからん。文法問題もどっかで見たことあるけど、なにやっけこれ? 長文いくつあるねん! めくっても、めくっても問題ばっかりで、時間が全くない」
大変なスコアになることを確信した。そして、不意に高校入学直後の英語のテストで、学年最下位を取ったことを思い出した。そもそも、英語が苦手だったのに、なぜ大丈夫と思ったのか、今となっては不思議でしかない。
しばらくして、結果が返ってきた。
「スコア235!? 出来はいまいちやと思っていたけど、このスコア何? 満点が990やから、全部Bを選んだ方がいいスコアじゃないのか?」
これが私とTOEICとの出会いだった。
4月になり、社会人になった。入社直後にTOEICを受験させられた。そして、再び数か月前のトラウマがよみがえる。勉強しているわけではないので、解けるはずがない。リスニングは聞こえないし、長文読解もわからない単語だらけだし、全く時間が足りない。ただ、前と違って、試験の分量だけはわかっている。なので、試験終了の5分前になると、空白なっている約30問分に塗り絵をはじめる。今回はCで埋め尽くしてみよう。
「スコア320」
前回より、85もアップした。ただ、同期とスコアを見せ合っても、私よりも低いスコアの子はいない。ようやく自分の英語力のマズさに気づいた。しかし、英語の勉強をするモチベーションがあったわけではないので、その後TOEICを受けることもなく、気づけば、何もせずに10年くらい経っていた。
ある日、そろそろ上の役職に昇格するタイミングになってきたので、昇格試験の内容を調べていた。昇格基準の一つとしてTOEICのスコアが600以上必要だということがわかった。世間的にみても、それほど高いわけではない。しかし、2年ほどの猶予期間があるとはいえ、私にとっては非常に高いハードルだった。
「こんなスコアどうやって取ればいいんだ……」
しかし、なんとか取らなければいけないので、勉強方法について調べ始めた。とりあえず、最寄りの本屋さんに行ったり、Webで勉強法を調べたりした。
「TOEIC対策に絞ったとしても、情報がありすぎてわからない」
情報がなくても困るが、情報があり過ぎても困るものだ。よくわからないから、まずは敵を知ることから始めようと思い、公式TOEIC Listening & Reading 問題集を買った。公式問題集を買って気づいたことがいくつかあった。
・リスニング問題(Part1~4)は、英文も問題も簡単。ただ、スピードが速いし、スピーカーによっては訛りがあって聞き取りづらい。
・文法(Part5、6)は難しい構文やマニアックな文法は出てこない。でも、英文の穴埋め形式なので英文を読むスピードは必要で、TOEIC特有の単語も覚える必要がある。
・長文も日本語を読むと非常に簡単。ただ、やはり量が多い。
これらを踏まえて、試験対策として、以下に取り組んだ。のんびりと取り組んでいたので、3か月くらいかかった。
・文法を思い出す(大学受験用の読みやすい、分量の少ない文法の参考書を2周読む)
・TOEIC用の単語を覚える(Amazonで一番売れている単語帳)
・問題慣れをする(公式問題集を2周解く)
これが終わった段階でテストを受けた。
「スコア500(リスニング265、リーディング235)」
ちょうど500だけれども、前までのひどいスコアに比べると随分ましだ。
「このまま続けていれば、すぐに600くらい超えるのではないか?」
その後、文法や長文のスコアを伸ばそうと思い、文法と長文の問題集を買って取り組んだ。
「次こそは600を超えるかも」と期待して、半年ごとに試験を受けていたのだが、545(リスニング260、リーディング285)、550(リスニング245、リーディング305)となかなか超えられない。
「これが俺の英語力の限界か……」
そんな時、大学の友人と飲む機会があった。彼は少し前まで海外赴任していて、英語もペラペラ、TOEICもほぼ満点だ。そんな彼に英語のことで相談した。
「なかなかTOEICのスコアが伸びなくて」
「スコアは?」
「500~550くらい」
「リスニングは?」
「ほぼ聞こえない。ずっと250前後」
「じゃあ、公式問題集のPart3、4の英文のシャドーイングをやりまくったらいいで」
「え?それだけ?」
「そうそう。実は入社した時にTOEIC受けたら300いかなくてさ。ちょっとまずいなと思って勉強したんよ。でも、使った教材は公式問題集1冊だけ。やったことはPart3、4の英文でシャドーイングするだけ。問題は試験直前にさらっと1回解いただけやけど、1年くらいで軽く900超えたで」
なかなか衝撃的だった。
公式問題集のシャドーイングだけでそんな点数取れるようになるものなのか、正直疑わしかった。
「彼はセンスあったからに違いない。彼は高校生の時に、英語が得意だったので、基本的なところはできていたはずだ。そもそも、彼に合った勉強法で、私には合わないのではないか」
ただ、全く同じ状況の人間なんていないし、人それぞれ合う勉強法も違うので、こんなことを言ってもキリがない気もした。ましてや、実際にその方法で上手くいっている分、信ぴょう性はある。彼に教えてもらった方法に取り組んでみることにした。
早速、Part3、4の英文のシャドーイングに取り組み始めた。しかし、あの高速スピーキングを、いきなりシャドーイングできるはずがない。いろいろと調べた結果、ディクテーションをしてからシャドーイングをすることにした。Part3だと1つの英文が、たった30~40秒だが、これでもなかなかできるようにならない。ムキになって2時間くらい1つの英文をやり続けたこともあるが、それでもできなくて、心が折れそうになったことも何度もあった。文法や長文の問題を解いていると、正解・不正解がわかるので、正答率によって勉強の効果が見えやすい。ただ、シャドーイングについては、すぐに効果が出るものではないとわかっているものの、本当に効果が出ているのかどうかわからないので、不安になる。でも、他に方法がわからないので、週に2,3日は家で1時間ほど、コツコツとシャドーイングをした。
そこから、半年が経ち、久しぶりのTOEICの受験だ。リスニングは全てが完璧に聞こえるようになったとは到底、言えないが、聞き取れる英語が随分と増えた。
「スコア700(リスニング370、リーディング330)」
リスニングはこれまで250前後しかなかったのに、100以上伸びた。大幅アップだ。
「おお!!! やっぱりシャドーイングは効果があったんだ。これで昇格要件を満たすことができた」
文法や長文の問題を解くよりも、結果的にはシャドーイングをすることが一番効果的だったようだ。効果が出るかどうか不安ではあったが、続けてよかった。やはり、適切な方法で、継続してトレーニングを行うことが、最短でスコアを上げる秘訣だと思った。
このページで出てきた本
- 公式TOEIC® Listening & Reading 問題集(以下、公式問題集とする)