【体験記】JMAT

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「国語と中学レベルの数学の問題か。就職活動で受けさせられたSPIと似たようなものかな」

昇格試験でJMATという試験科目があると聞いた。しかし、聞いたことがない試験なので、何のことだか全くわからない。インターネットで調べたところ、どうやら中学レベルの国語と数学の問題と性格診断のテストらしい。ただ、念のため内容を確認するため、本屋に行った。ちょうどいい対策本を見つけた。パラパラと本をめくると、インターネットで調べた通りの内容だった。

「国語は語彙の問題と長文読解か。国語苦手だったんだよな……。社会人になってまでこんな問題を解くことになるのか」
「数学の問題の意味は理解できるな。特別な公式が出てきているわけではないし、解き方もなんとなくわかる」
「性格診断とか対策するものでもないよな。これで性格と職務タイプが出てくるらしいけど、結果の信ぴょう性はどうなんだろうか……」
「他にも昇格試験があるし、JMATの対策は特にしなくてもいいかな」

こうして本を買うこともなく、本屋を出た。

そして、試験の3日前になった。
仕事が終わって帰る時に、先輩と一緒になった。

「昇格試験受けるんだよね? 対策は進んでいる?」
「試験科目がいくつかあるので、科目を絞って対策しています。ただ、試験対策よりも小論文の作成に時間がかかっていて……」
「ああ、小論文は時間かかるよね。そういや、JMATも受けるよね。対策しているの?」
「内容を確認したら、まあ大丈夫かなと思ったので、対策科目から外しました」
「一通りでもやっておいた方がいいよ。意外と手が動かないから」
「手が動かないですか」
「そうそう。まあ、やってみればわかるよ」

信頼できる先輩の言うことだし、とりあえず一通りでもやってみることにして、本を購入した。ただ、仕事でバタバタしていたり、他の試験対策に時間がとられたりしているうちに、気づけば試験の前日になっていた。
仕事が終わり、家に帰って夕食を食べて一息ついた時、ふと、

「そういや、JMATの試験問題解いてないな」

明日は試験なので早く寝ようと思ったが、せっかくJMATの対策本を買ったのだから、問題を解くことにした。

まずは検査1:言語能力検査、いわば国語から解いた。

「うーん。この語句自体は知っているけど、正確にはどういう意味だっけ?」
「長文の意味はわかるけど、内容と合致しているものと言われるとどれだろうか? この手の問題は昔から苦手だったな。時間がないので、あまり悩んでいられないな」

といった感じで、とりあえず解き終わる。
採点してみると、いくつか間違えていたが、まあ仕方ない。語句の意味なんて今更増やせるものでもないし、どうしようもないよなとあきらめた。

次に、検査2:非言語能力検査、いわば数学を解いた。

「この解き方で合っていると思うけれども、5桁の足し算・引き算、3桁割る4桁の割り算がある……。手書きの筆算なんていつ以来だろう。計算がめんどくさい」
「推論から正しいものを選ぶ問題か。中学数学とはちょっと違うタイプだな。論理クイズっていうだっけ? じっくり考えると解けるんだろうけど……」
「時間が足りないな」

解き方はだいたいわかるけれども、頭と手が思った通りに動かない。まさに、子どもの運動会の親子リレーに参加したお父さんの状態だ。頭では動くと思っているのだが、体がついてきていない。今にして、先輩が言っていたことがよくわかる。試験の前日だったので、早く休みたかったが、対策が不十分であることに焦る。

「計算が必要な問題は計算慣れのため、もう一度解いておこう。論理クイズは条件の書き出し方だけでも、決めておいた方がいいよな。あとは間違えた問題や解き方に迷った問題を解き直して……」

内容は絞ったつもりだが、やりはじめると意外と時間がかかる。気づけば1時を過ぎていた。学生時代に、試験の前日に急いで詰め込んでいたことを思い出す。

「社会人になってまで、こんなことをしているなんて……。さすがに、これ以上起きていたら、試験に影響しそうだ。もう寝よう」

不安は残ったまま、試験を受けることになった。午後全部を使って、いくつかの昇格試験を受けたのだが、最後がJMATだった。
試験前の休憩時間に、他の受験者の会話が聞こえてくる。

「JMATは割と簡単じゃない? だって、電卓使えるんやろ?」
「いやいや。GMAPでは電卓使えたけど、JMATでは使えないで」
「マジか! それはやばい」

持ち物に電卓とあったので、勘違いしてしまう気持ちはとてもよくわかる。そうこうするうちに、試験が始まった。

まずは、検査1:言語能力検査からだ。パラパラっと問題用紙をめくり、試験問題の確認をする。

「対策本に載っていた問題形式と同じだ。よかった」

語句と長文で、それぞれ何問か自信がない問題があったが、まあ大丈夫な気がする。

次に、検査2:非言語能力検査だ。こちらも、問題用紙をめくり、試験問題を確認した。

「こっちも対策本に載っていた問題形式と同じだ。しかも、似たような問題が多くある。これなら、なんとかなりそうだ」

時間はギリギリになってしまったが、なんとか全ての問題を解けた。これは確実に前日の晩に問題を解いたおかげだった。

残すは、検査3:性格検査と検査4:指向検査だ。

合わせて、200問以上の質問があった。他の試験で、疲れ果てていたのと、考えたところで結果が変わるわけでもないだろうから、適当にマークしていった。時間制限はなかったが、40分くらいはかかったと思う。こうして、JMAT試験が終わった。

数か月して、試験結果が返ってきた。言語、非言語の結果、性格特徴および職務タイプが書かれていた。
性格特徴や職務タイプは「へぇー、そうなんだ」という感じだったが、言語、非言語については、5段階評価でともに5だった。

「対策していなかったら、この評価にはならなかったな。先輩にお礼を言っておかないと」

解けそうと思った問題でも、自分で解いてみるのは大事だなと改めて感じた。

このページで出てきた本

  • 完全再現 NMAT・JMAT攻略問題集 全面改訂版 (本当の就職テスト)(以後、問題集とする)

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