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距離が近いほどコミュニケーションはうまくいく

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「全然伝わっていない……。なぜ、こんなにかみ合わないんだ」

「あー、どうやってメールを書けば伝わるのだろうか」

先日、会社で他部門の人とメールでやり取りしていた。

内容は、双方の部門が関わっているプロジェクトに関するもので、私からプロジェクトの進め方について、提案をしていた。

しかし、何回かやり取りしても、「私も方針には賛成しています。ただ、上司に確認しましたが、承諾してもらえなくて」といった内容の返信がくるばかりで、なかなか前に進まない。

最初はなるべく丁寧にやり取りしていたのだが、段々と感情的になってきて、メールの文面も少しキツくなっていた。

これに連動するように、相手も少しイライラしてきているのが伝わってくる。

状況はどんどん悪くなっていた。

この一連のやり取りを見ていた同じ部門の先輩が、「相手の上司も呼んで、対面で打ち合わせした方がいいんじゃないの?」とアドバイスをくれた。

「そうですね」と答えたものの、何回かやり取りしてもうまくいっていないし、なにより感情的になっていたこともあり、対面で打ち合わせしても、うまくいかなさそうだと感じていた。

ただ、私のことを心配して、先輩がアドバイスをしてくれたのだから、ダメ元で打ち合わせをセッティングしてみた。

打ち合わせ当日、感情的にならないよう、平静を装って打ち合わせの場に向かった。

私が打ち合わせの場に到着すると、メールのやり取りをしていた相手とその上司はすでに到着していた。

相手の表情を確認したが、特に怒っている様子はなさそうだった。

軽く挨拶を交わし、打ち合わせが始まった。

私の方から、これまでメールでやり取りしていた内容と同じ説明を行った。

相手の反応を見ながら、いくつか補足を入れつつ、一通り説明を終える。

そこから、お互いに気になっているところを確認するために質問をしたり、新たな意見を出したりした。

最終的には、私が最初に提案した内容に相手の意見を加えることで、双方が納得する進め方にまとまった。

正直、打ち合わせの前までは、お互いの主張がかみ合わず、何も決まらないまま終わるかもしれないなと思っていた。

それが、全く違う展開になったことに少々驚いた。

「メールではあんなにかみ合わなかったのに、なぜ対面で打ち合わせしたら、すんなりと決まったのだろうか」

こんなことを考えながら自席まで歩いていると、ふと、「コミュニケーションは磁石のようなもので、磁力は相手から得られる情報量かもしれないな」と思った。

2本の磁石は遠く離れていると反応しないが、2本が近づけば近づくほど、強い磁力が働く。

向かい合った磁石の端が、S極とN極であればくっつくが、S極同士ならくっつかない。

ただ、S極同士だったとしても、近くにあれば磁力が働くので、すぐに両方が動いて、最終的にはS極とN極がくっつくことになる。

なお、くっつくためには、2本の磁石の間に磁力を遮るものがあってはいけない。

今回の出来事で考えると、はじめは他部門の決定権のある人とのやり取りではなく、その部下の人とメールでやり取りをしていた。

この状態は、2本の磁石が遠く離れていて、しかも、間に磁力を遮るものが入っていたようなものだった。

それが、対面で決定権のある人と打ち合わせをすることで、磁力を遮るものがなくなり、かつ、十分に磁力が働く状態になった。

すると、はじめは意見が異なっていたが、双方が十分に情報を得られることで、最終的に意見がまとまったと考えることができる。

メールだと、メールの文面からしか相手の情報は得られない。

電話だと、話の内容に加えて、相手の声の抑揚や、話をするスピードから、もう少し相手の情報を得ることができる。

これが対面になると、話の内容、声に加えて、相手の表情や仕草もわかる。

このように相手との距離が近づくにつれて、相手の情報を多く得ることができるので、その分相手の考えを理解しやすくなる。

相手が考えていることがわかると、こちらの意見のどこが賛成で、どこが反対なのか読み取れる。

相手の反応を見ながら、伝え方を工夫しつつ、こちらの意図を伝えられる。

これは相手にも同様のことが言える。

こうして、お互いがお互いの情報を十分に得られることで、うまくコミュニケーションできる。

直接会うことで、誰とでも上手くコミュニケーションができるわけではない。

しかも、今回のように、やや話がこじれた相手と直接会うのは気が引ける。

ただ、遠く離れたところでやり取りしてもうまくいかなさそうなら、勇気を出して、直接会う方が、うまくコミュニケーションできる可能性が高いのかなと思う。